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身体、技術力、そして特に精神面が変化。名古屋U-18の194cmGKピサノアレクサンドレ幸冬堀尾が好守連発

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名古屋グランパスU-18の194cmGKピサノアレクサンドレ幸冬堀尾(3年=FC.フェルボール愛知出身)

[7.2 高円宮杯プレミアリーグWEST第10節 横浜FCユース 0-2 名古屋U-18 保土ケ谷]

 精神面が大きく変化。自信がプレーに表れている。名古屋グランパスU-18の194cmGKピサノアレクサンドレ幸冬堀尾(3年=FC.フェルボール愛知出身)は、前半13分に左から抜け出してきた相手FWのコースを消してシュートストップ。ビルドアップでのミスもあったが、引きずることなく無失点で前半を終えると、後半に再びシュートストップで魅せる。

 5分、グラウンダーのクロスをU-18日本代表候補MF永田滉太朗(3年)に左足ダイレクトで狙われたが、横っ飛びでキャッチ。さらに17分には、ビルドアップのミスからショートカウンターを浴び、至近距離からシュートを狙われた。だが、左足を伸ばしてストップ。横浜FCユースの選手たちに天を仰がせた。

 その後、永田のシュートが枠を捉えてきていたが、ピサノはファンブルすることなく確実に処理し続ける。対戦した横浜FCの小野信義監督も賞賛したピサノのプレー。名古屋は相手に計13本のシュートを放たれたものの、守護神の活躍で無失点勝利を果たした。

 ピサノは「自分、個人として守ることも意識しているんですけれども、特に後ろ(DFライン)の4枚と自分が声でコースを少しでも限定して、自分が最後守りやすい形を上手く作れた試合だったと思います」と振り返る。ただし、2-0というスコアを良しとはしていない。13本もシュートを打たせてしまったことを反省。「未然に防ぐというところは、今回特に課題に当たるのかなと思います」と語り、シュートを打たせないこと、より正確にボールを繋ぐことも課題に挙げていた。

 昨年、プレミアリーグ出場2試合に終わった大型GKが急成長。今年は安定感の高いプレーを続けている。主将のCB大田湊真(3年)は「正直、去年は危なかっしいところがありましたが、今年に入ってピサノへの信頼度はみんな違うと思うし、彼の逞しさにはいつも助けられています」と評し、古賀聡監督も、「安定感はどんどん増してきている。より上を目指して欲が出てきているのかなと」と評価する。

 身長は昨年から5cmほど伸びて現在194cm。また、本人が「最初グランパス入る前は自分キック苦手で全然蹴れなくて、でも色々な先輩とかコーチたちに色々教えてもらって、蹴れない自分が嫌だったので、練習前も練習後もずっと蹴っていて、まだまだですけれども、両足良いくらいには蹴れるようになってきたと思います」と説明する両足のキックは、トップチームからも評価されるほどだという。

 肉体も、技術面も成長しているが、本人が一番の変化に挙げるのが精神面だ。「自分、最初気持ちが弱くて1失点したら自分のせいだとか、凄く落ち込む部分もあったんですけれども、3年生になって後ろから自分が示せなかったら雰囲気が悪くなるだけだと思うので、そこは失点しても空元気じゃないですけれども、明るく振る舞うことで自分たちの流れも作りやすくなると思うので、そこは3年生になって今一番伸びてきているかなと思っています」。加えて、最終学年で責任感が芽生えたこと、またトップチーム昇格への強い思いも好プレーに繋がっているようだ。

「自分がもっとやんないと」「自分が今いる立場で全力を尽くして、自分の価値をどんどん高めるだけ」と意識。その中で無失点の試合が増え、また自信を得ている。進化する大型GKにとって、将来のかかるこの夏はとても大事。トップチームのトレーニングで感じたスピード感を向上させ、ピッチで自分の可能性を示す。
 
(取材・文 吉田太郎)
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