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[MOM4348]名古屋U-18FW野中祐吾(1年)_自分が「決める」「勝たせる」。強い意志を持って走った1年生が先制ゴール

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前半6分、名古屋グランパスU-18FW野中祐吾(1年=名古屋グランパスU-15)が先制ゴール

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.2 高円宮杯プレミアリーグWEST第10節 横浜FCユース 0-2 名古屋U-18 保土ケ谷]

 ピッチに立てば、学年は関係ない。悔しさを胸に走った1年生FWが活躍。名古屋グランパスU-18に勝点3をもたらした。

 前半6分、FW野中祐吾(1年=名古屋グランパスU-15)は相手のビルドアップに対し、GKまでプレッシング。FW那須奏輔(3年)が連動して相手MFとの距離を詰めたことで横浜FCユースにミスが起きた。こぼれ球がPAの野中の下へ。「奏輔君が相手が良い状態じゃないときにプレスをかけてくれて、目の前にボールがこぼれたのであとは流し込むだけでした」。背番号33が冷静に右足でゴールへ流し込んだ。

 開幕戦から全試合出場を続け、先発3試合目でプレミアリーグ初ゴール。野中は跳躍し、右手を高く突き上げた。「自分たちが掲げているサッカーはどのポジションでも守備をするというサッカー」「自分は前からどんどんプレッシャーを掛けるのが得意」という1年生は、気温29度の暑さの中、前線で人一倍の走力を発揮。その頑張りが追加点にも繋がった。

 名古屋は後半、我慢の時間帯を経て30分に追加点。このシーンでも野中は最前線でGKへプレッシャーを掛け、相手のビルドアップを乱している。圧倒的な個の力を発揮した訳ではない。それでも、前から奪いに行くチームの中で自分のやるべきことを全力で表現。そのハードワークがゴールと白星に結びついた。

 古賀聡監督は0-0に終わった前節・神戸U-18戦後に野中が「守備陣がゼロでしっかり抑えてくれたのに、自分がゴールを決められなくて、勝たせられなかったことをみんなの前で話をしていた」と明かす。

 1年生FWはこの一週間、指揮官も認めるほど意識の高い取り組み。古賀監督は、自分が得点するため、勝つために必死に取り組み、結果を出した野中について「逞しくなったと思います」と目を細めていた。

 野中にとっては意地のゴールでもあった。名古屋は絶対的エースのFW貴田遼河(3年、U-18日本代表候補)が今季序盤からトップチームで活動中。また、FW杉浦駿吾(2年、U-17日本代表)がU17アジアカップ出場のため、チームから離れている。白星を逃した前節終了後、野中は「駿吾君と遼河君がいないから点が取れないというコメントを見て自分は悔しくて、本当に自分が勝負を決めてやるという思いで、今日は挑みました」。その思いをぶつけ、ゴールと白星をもぎ取った。

 だが、まだ1得点を挙げただけ。チーム内競争は1分、1秒も気が抜けないという。「今後ももっと点を取れるようにしたい。遼河君や駿吾くんのように自分はなれないと思うんですけれども、自分には自分の良さがあると思うので、それをピッチで120%発揮できるようにやっていきたい。前線からの守備や背後のアクションは自分の強みなのでもっともっと見て欲しい」と力を込めた。

 年代別日本代表に選ばれたことがなく、「とても悔しい思いをしている」。その目標もクリアできるようにFWとして点を取る、チームを勝たせることにこだわっていく。不安がない訳では無い。それでも「ピッチに入ったら年齢関係ない」と先輩にも積極的に発信し、全力プレー。自分とチームを信じて走り、決めてまた勝利を喜ぶ。


(取材・文 吉田太郎)
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