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初の高卒プロ誕生もきっかけに「器が大きくなった」。報徳学園が三田学園との兵庫県勢対決を制す

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後半36分、報徳学園高がMF中嶌大和のゴールを喜ぶ

[8.26 高円宮杯プリンスリーグ関西2部第10節 三田学園高 1-3 報徳学園高 三田学園高校G]

 26日、高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ 2023 関西2部第10節で三田学園高(兵庫)と報徳学園高(兵庫)が対戦。報徳学園が3-1で兵庫県勢対決を制した。

 報徳学園が前期の対戦で敗れている三田学園にリベンジした。立ち上がりからゲーム主将のCB新井勇信(3年)とCB三谷颯麻(2年)を中心に良く声の出る報徳学園は奪ったボールをいずれも推進力のあるFW藤澤愛毅(3年)、MF横畑進次朗(2年)へ入れて相手を押し込もうとする。

 対する三田学園は、注目の2年生CB黒瀬直弥やキャプテンマークを巻いたCB八木捷斗(3年)から丁寧なビルドアップにチャレンジ。機動力のあるFW谷川裕基(3年)が揺さぶりをかけ、左サイドで一際存在感を放つMF中田雄大(2年)が縦への鋭いドリブルからシュートへ持ち込む。

 だが、攻めきれずに相手のロングボールで押し戻されるシーンが増加。30分、報徳学園はカウンターからクロスへ持ち込み、最後はヘディングシュートのこぼれ球を藤澤が頭でゴールへ押し込んだ。

 先制された三田学園だが、ボールを保持して押し返し、中田のドリブルやFW張間仙太(3年)の左足シュートなどで反撃。そして45+2分、セットプレーの流れからゴールエリアのMF米田陵汰(3年)が右足を振り抜く。これはDFに阻まれたが、跳ね返りを左足で決め切り、1-1とした。

 三田学園は後半開始から怪我明けの10番FW姫田琢斗(2年)を投入。試合をひっくり返しに行く。だが、福原幸明監督が「今日は相手の怖いところにボールを動かせていない感じがした。怖いところでボールを持ったり、ボールを動かせていない」と指摘したように、横パスやバックパスが増えてなかなか効果的な攻撃をすることができなかった。

 一方、報徳学園の新井は「前半はチーム全体で蹴るところは蹴る、繋ぐところは繋ぐということができていなくて、ハメられてそこからカウンターを食らうことが多かった」と振り返る。だが、後半は改善。まずは高い位置までボールを運び、そこから10番MF上野翼(3年)や横畑、藤澤が係る崩しでチャンスを作り出した。

 三田学園は黒瀬が的確な守備対応に加え、空中戦でも強さを示していたが、流れは報徳学園。21分、報徳学園は攻守で活動量を増やしていた右SB名田智輝(3年)のクロスを藤澤が頭で叩き込んで勝ち越す。その後も左SB前山康貴(3年) の攻め上がりから交代出場FW井村海来(3年)がシュートへ持ち込むなど追加点を狙う。そして36分、井村の落としから交代出場MF中嶌大和(2年)が右足で決めて3-1で勝利した。

 報徳学園は昨年のエースFW坂元一渚璃がいわき入り。初の高卒プロ選手が誕生した。高田秀一監督はその影響について「感じます。坂元は凄いエリートで来たわけじゃない。彼が人間性を磨いたことと努力を彼らは見ている。怒られた時に(沈むのではなく、)頑張ろうと。器が大きくなった」と説明する。

 昨年は先発の大半を3年生が占めていたこともあり、今年の新人戦、インターハイ予選、リーグ戦も結果が出なかった。だが、先輩を見て意識高く活動するチームは努力を継続。徐々にプリンスリーグのスピード感に慣れた選手たちはこの夏、「圧勝する」「シンドい時に頑張る」「切り替え」など8項目を決め、週ごとに重視するポイントの割合を変えながらさらなる強化を目指してきた。

 また、強豪校からの勝利が自信に。新井は「夏の遠征で自分たちの思うようなプレーができて、今までは負けていたらそのままの雰囲気で行っていたけれど、負けていてもやることは変わらないとやるようになった。宮崎遠征で色々な強豪校とやって、(ともにインターハイ出場校の)宮崎日大、三重海星とやって勝てて自信がついた」と説明する。この日の勝利も自信に継続。「選手権は(県大会で)優勝して全国でも優勝できるようにして、プリンスでは全部勝てるように、かつ圧勝することを目指しています」(新井)という目標達成を目指す。
 
(取材・文 吉田太郎)
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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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