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京都U-18と1-1ドロー。プリンス関西1部で8戦連続不敗の近江は全国ベスト4を達成するチームへ

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前半9分、近江高FW荒砂洋仁が右足で先制ゴール

[8.27 高円宮杯プリンスリーグ関西1部第10節 近江高 1-1 京都U-18 ビックレイクC]

 27日、高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ 2023 関西1部第10節が行われ、4位・近江高(滋賀)と2位・京都サンガF.C.U-18(京都)が激突。1-1で引き分けた。

 開幕戦で0-4の敗戦を喫していた強敵と1-1でドロー。今季、G大阪ユースやC大阪U-18を破っている近江が、プリンスリーグ関西1部での連続不敗を8へ伸ばした。前半9分、近江はゴールキックが相手DF背後へ抜けると、いち早く反応したFW荒砂洋仁(3年)が右足シュート。ボールは距離を詰めてきたGKの頭上を越えてゴールへ吸い込まれた。

 立ち上がりから優勢に試合を進めていた京都U-18だが、この1点で相手を勢いづけてしまう。近江はファーストディフェンスや競り合いで身体を最後までつけることを徹底。DF西村想大(3年)やDF安田旭(3年)が、出足良く相手の攻撃を食い止める。

「前からオールコートでマンツーというくらい行かせて、ゾーンのところも気にしながら縦パスを入れさせない」(前田高孝監督)。好守を見せる近江に対し、京都U-18はビルドアップで組み立て直すシーンが増えていたほか、ミスも。近江は敵陣でインターセプトしたMF山門立侑(3年)がゴールへ迫ったほか、3バックの左DF金山耀太(3年)が突破力を発揮してPAまで攻め上がる。

 また、ボールを繋ぎ返していたが、前田監督は相手の厳しいプレッシャーの中で自信を持ってボールを動かせなかったことを指摘。金山も「守備が自分たちの特長ではないので、良い守備から良い攻撃ができたら良かったんですけれども、守備に追われて攻撃に力を使えていなかった」と首を振る。好内容の前半に映ったが、選手たちは相手のビルドアップに苦戦し、ボールをより繋ぐことができなかったことを悔しがっていた。

 近江は前半の飲水タイム後、選手の発案で守り方を変更。シャドーから低い位置へ降りる相手MF立川遼翔(2年)やアンカーのMF尹星俊(1年)を追いすぎない形に変えていた。だが、京都U-18はプレスが緩んだところを逆手に取って同点。38分、MF兎澤玲大(3年)へ縦パスが通ると、その落としからのスルーパスでFW熊谷空大(3年)が抜け出す。熊谷は相手GK、DFに対応されていたものの、決め切り、1-1とした。

 後半は京都U-18ペースに。注目の1年生MF尹が読みと強さを活かしてボールを回収するなど、素晴らしい奪い返しから攻撃を繰り出す。ボールを保持しながら、連続攻撃。抜群のスピードを見せる熊谷や兎澤が相手の脅威になっていたほか、U-19日本代表CB喜多壱也(3年)や左SB飯田陸斗(3年)の攻め上がりも交えた攻撃で相手ゴールをこじ開けようとした。

 だが、近江もゴール前で集中した守り。選手交代に伴う形で金山を左WBへ押し出し、勝ち越し点を狙う。終盤は相手の運動量が低下したこともあって、近江がチャンスを量産。積極的にボールを受けて前を向くMF西飛勇吾(3年)と前田監督が「根性がある。覚悟が決まっている」というMF川上隼輔(3年)のダブルボランチがゴール前まで駆け上がっていく。

 そして、3度4度とビッグチャンス。だが、好セーブ連発の京都U-18GK三反畑篤樹(3年)が立ちはだかる。京都U-18も終盤に決定機を作り返したものの、近江は金山の懸命なカバーリングやGK山崎晃輝(2年)の好守もあって勝ち越し点を許さず、1-1で90分間を終えた。

 京都U-18の石田英之監督は「よく前半で追いついてそれは成果やし、後半もゴール迫るシーンを作れたし、押し込んだし、ただそこでしっかり破って、点を取れるか。きょうも『1対1のところで負けるな』『プロを目指している選手でしょ』『そこ負けていて良いの?』『プライド持てよ』と話したんですけれども、そこも含めて成長しなければいけない」と指摘。1点を争う展開でパワーを出せる選手、点を決める選手の台頭も求めていた。

 一方の近江は最後に盛り返して試合を終えたが、前田監督は後半の多くの時間帯で劣勢だった内容面を厳しく指摘。京都U-18相手にやり合う時間もあったが、満足する訳にはいかない。その一方、「選手が自分たちで体感して、やり方を変えたいと言って来たことは良かったです」と頷いていた。

 金山は「(昨年度の)選手権で昌平に負けてから全国ベスト4という目標を掲げてやってきて、もう残り半年しか無い中で最後は目標を達成するのもそうですけれども、後悔のないように一日一日の練習や練習試合、公式戦で少しずつでも成長して少しでも良いチームを作り上げられたら良いなと思っています」。PK戦で初戦敗退に終わったインターハイやこの日の戦いも糧に。内容、結果でも相手を上回るチームへ進化する。

(取材・文 吉田太郎)
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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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