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[MOM4412]岡山U-18DF勝部陽太(3年)_クレバーに戦う“小さな巨人”

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DF勝部陽太はクレバーなプレーで攻守に存在感

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[9.9 高円宮杯プリンスリーグ中国第13節 瀬戸内高 1-1 岡山U-18 揚倉山健康運動公園(上段)]

「ファジアーノの象徴みたいな選手。戦えるし、クレバーだし、向上心もあって貪欲」。ファジアーノ岡山U-18の梁圭史監督が絶大な信頼を寄せるDF勝部陽太(3年)が、瀬戸内との一戦でも存在感を見せた。

 岡山が主導権を握る展開となった前半は本職の右SBとしてクレバーさを披露。「自分の前にいる選手が一番活躍できるようなプレーを意識している」と話す勝部は、前列に位置するMF三木ヴィトル(3年)が縦を仕掛けるタイプであるのを考慮し、タイミングよくインナーラップを繰り返した。

持ち味であるクレバーさを発揮していた勝部だが、後半3分にDF服部航大(3年)が退場し、10人になってからは持ち場をセンターバックに移した。「怪我で人がいなかったらセンターバックもしてきたので、不慣れなポジションではなかった」ものの、身長は171cmと大柄ではない。対峙するのはサイズとスピードを備えたFW上岡士恩(2年)ということもあり、真っ向勝負では勝てないと判断した勝部は頭を使ったプレーで対抗する。

「20番(上岡)のような選手に懐に入られたら、勝てない。先にぶつかって相手の体勢を崩してから、自分の得意な形に持ち込もうと意識している」。試合終盤には危ない場面もあったが、勝部を中心に最後まで身体を張って失点を回避。1人少ない試合展開でも引き分けに持ち込めたのは彼がいたからだ。

「小さいので、どうしてもデカい選手には敵わないので頭を使いながらプレーしないといけない。自分の今できていないことに向き合いつつ、できることを活かしながらプレーするように意識しています」。そう口にする勝部からは身長に対する引け目ではなく、“小さくても戦えるんだ”という誇りを感じる。

 トップチームに、お手本となる選手がいるのも大きい。加入1年目の昨シーズンからチームに欠かせない選手として君臨するMF田中雄大は勝部より小さな162cm。守備のユーティリティープレイヤーとして活躍するDF本山遥も勝部と同じ171cmで決して大きくない。シーズン前のキャンプに帯同した勝部は「自分は考えてクレバーにプレーしないと生き残れない」と先輩たちのプレーや身体の使い方を観察し、自らの成長に繋げていったという。

 そうした貪欲な姿勢も評価され、6月に行なわれたギラヴァンツ北九州との天皇杯2回戦ではベンチ入りを経験。「今までトップチームはずっと夢という感じだったのですが、キャンプに参加したり、天皇杯でベンチに入ったことで目標というか、ここでやりたいと思うようになった」。そう話す勝部は高卒でプロ入りを果たせなかったら、大学では勉強に軸足を移すつもりでいたが、今はプロ入りを果たせなくても大学でサッカーを続けたいと考えている。
 
 個人としての目標を追い求めつつ、チームとしての目標も追い求めている。「ここで勝点1が獲れたのは大きい。最後リーグ戦が終わった時にプレミアリーグのプレーオフに行くのが僕たちの目標。この大きな勝点1によって、少しでもそこに近付けた」。チーム史上初のプレミアリーグ昇格を掴み取るため、プリンスリーグの残り5試合も“小さな巨人”はクレバーに戦い続ける。

(取材・文 森田将義)
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