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[プレミアリーグEAST]前向きに取り組み続け、改善、自信が結果に結実。流経大柏が6試合ぶり白星

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後半20分、流通経済大柏高の左SB奈須琉世(35番)が決勝ゴール

[9.30 高円宮杯プレミアリーグEAST第16節 昌平高 1-3 流通経済大柏高 昌平高G]

 高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2023 EASTは30日、第16節1日目を行い、流通経済大柏高(千葉)が6試合ぶりの白星を勝ち取った。アウェーで昌平高(埼玉)と対戦した流経大柏は、3-1で勝利。昌平をかわし、暫定6位へ順位を上げている。

 最近5試合の成績は1分4敗で3連敗中。前期からの「良い試合はするけれど勝ち切れない」が続く結果となっていた。だが、榎本雅大監督が「今年のヤツは真面目だから、(結果が出なくても)凄え前向きにやるんです」という流経大柏は、前向きな取り組みを継続。課題を改善し、積み重ねてきた自信も結果に結びつけた。

 立ち上がり、ホームの昌平が2つのビッグチャンスを作る。前半5分、U-17日本高校選抜MF長準喜(3年)のラストパスからMF前田大樹(3年)が右中間へ抜け出し、ポスト直撃の右足シュート。さらに7分には、前田の右クロスをFW鄭志錫(2年)が頭で合わせる。だが、これは流経大柏GK土佐昂清(3年)がビッグセーブ。昌平は立ち上がりから攻勢に出たが、ここで仕留められず、その後は全体的に長いボールでの攻撃が増えてしまう。

 一進一退の展開。流経大柏はチームの課題となっていたDFラインの統制、守備時の身体の向きなどを徹底していた。球際の強度で勝り、押し込まれても、キャプテンマークを巻いたCB高橋力也(3年)とU-17日本高校選抜CB塩川桜道(3年)を中心に水際のところで踏ん張って決定打を打たせない。一方の昌平は、U-17日本高校選抜候補CB石川穂高主将(3年)が膝の負傷で長期離脱している中、ゲーム主将のCB佐怒賀大門(3年)が中心になって無失点を続ける。

 流経大柏は前半31分、右サイドへの展開から右SB北村温人(3年)がグラウンダーのクロス。味方選手が勢い良くゴール前に走り込むと、昌平DFのオウンゴールを誘い、先制した。流経大柏は畳み掛ける。31分にも高い位置での奪い返しから、U-17日本代表FW柚木創(2年)の右足ミドルがクロスバーを叩く。

 さらに40分、42分と立て続けに決定機を作り出すが、昌平GK佐々木智太郎(2年)がいずれもビッグセーブ。流経大柏は後半立ち上がりのチャンスも最後の局面で慌ててしまうなど、活かすことができなかった。それでも、運動量を維持して圧力をかけ続けると、後半20分、左SB奈須琉世(2年)がインターセプトからボールを預けて前方へスプリント。そこへ柚木からのスルーパスが通り、最後はGKとの1対1から右足アウトでゴールへ流し込んだ。

 前節から左SBを務める奈須と、後半に存在感を増した柚木との2年生コンビでゴールをこじ開けた。昌平も2トップへ素早くボールを入れる攻撃からU-17日本高校選抜候補MF土谷飛雅(3年)と前田を軸に距離感良くボールを動かす“昌平らしい形”でリズム。そして30分、MF大谷湊斗(2年)とのパス交換から土谷が右足で技ありのゴールを決めた。

 昌平優位の時間帯が続く。流経大柏は前節、青森山田高戦で2-0から逆転負け。再び2-0から1点を返されたが、青森山田戦の経験が活きた。高橋が中心となってチームを鼓舞。周囲を助けながら守る塩川は、後半も前に出て2度3度とボールを奪い取っていた。加えて、榎本監督が「先週の山田戦が良い意味で自信に繋がっているかもしれない」というように、2年生が先発の半数を占めるチームが自信を持ってプレーしたことも大きい。

 相手に飲み込まれることなく戦い、榎本監督が「ショーンと山口2枚代えて、そこがポイントになっていた」と評した2人が追加点に絡む。後半38分、流経大柏は右サイドから相手を押し込むと、交代出場FW山口裕也(3年)がDFを引き付けてヒールパス。これで交代出場MF田中ショーン涼太(3年)が抜け出してクロスを上げると、最後は交代出場FW飯浜空風(2年)がゴールへ蹴り込み、3-1とした。

 昌平の藤島崇之監督は「運動量の部分をもう少しやらないといけない、というのはありましたね」と指摘。守備の距離感向上から巻き返した前節・川崎F U-18戦(0-3)に続き、この日も立ち上がりや後半も良い時間帯があったが、結果に結びつけることができなかった。

 勝った流経大柏は5勝4分7敗。高橋は「(今年は)毎回、内容良いのに負けちゃう。自分たちも何で、何で、というのがあった」と振り返る。マジメな選手が多い反面、トレーニングで仲間に対する厳しい声が出なかったというが、厳しく求め合う声が増加。高橋は「甘い雰囲気でやらないということは、自分も、(塩川)桜道も、土佐も、リーダー格のヤツらは(チームメートに)アプローチできるようになったので、そこは変わったと思います」と説明する。

 この日、ともに中盤で戦い、攻守でボールに絡んでいたMF中田旭(3年)やMF古川結翔(3年)を含めた3年生が、榎本監督の檄にエネルギー、パワーを持って応える形で勝利。守備面で改善してきたことや、自信を持って戦ったことが結果に繋がった。高橋は今後の戦いへ向けて「勝点をしっかり積み上げていくことをしっかりと意識して、『内容良かったのに……』という結果になったら絶対にいけないと思う。結果をしっかりと出しつつ、内容にもこだわって自分たちはやっていきたいと思っています」。また前向きに改善に取り組み、次節も勝つ。

(取材・文 吉田太郎)
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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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