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U-17W杯出場時間ゼロも、培った「あと一歩出す」力を発揮。2年生で日本高校選抜候補入りのDF布施克真(日大藤沢)は「模倣]もしながらまた成長

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DF布施克真(日大藤沢高2年=横浜FMジュニアユース出身)が日本高校選抜選考合宿で「あと一歩を出す」力などを発揮中

[1.22 練習試合 日本高校選抜候補 1-3 東京国際大]

 2年生DFが、培った力を日本高校選抜選考合宿で表現している。DF布施克真(日大藤沢高2年=横浜FMジュニアユース出身)は練習試合1本目に右SB、4本目に左SBとしてプレー。強度の高い大学生にも守備で渡り合うなど印象的な動きを見せていた。

 素早く前線にボールを入れてくる相手に対し、「守備に関しては、あんまり心配していない。先に動いて、相手の前に入ってボール奪うっていうところは意識してやっていた」。速い予測とタイミング良く身体を相手の前に入れることでボールを奪っていた。

 25分間を1-0で終えた4本目には、相手のロングカウンターに対し、自陣ゴール前までスプリント。最後は身体を投げ出して決定機を阻止した。「(敵陣CKの守りで対応が遅れ、)自分のミスだったんで、 『自分で守んなきゃな』っていうので、そこからずっとダッシュで戻って。まあ、そこでクリアできたのは良かったです」。ビルドアップなど攻撃面での反省をすることも忘れなかったが、U-17日本代表で学んだことを一つ発揮した。

 布施は昨夏、秋のU-17日本代表活動で万能性と出力のある動きを発揮。U17アジアカップメンバー外から逆転でU-17ワールドカップメンバー入りを果たした。本大会ではフィールドプレーヤーで唯一出場機会なし。だが、トレーニングに全力で取り組み、コーチ陣からも認められるほどの成長を遂げて帰国した。

 特に変化したことが、「あと一歩を出す」ところだ。「自分としては、ここで終わりっていうところから、もう一歩出すとか、もう一個踏ん張るとか、もう一個体投げ出すとかっていうのをやっぱり一番ワールドカップで学んだり、あと守備の強度だったり、際だったりっていうところを凄く教わって。だから、今日のあのクリアも多分できたと思いますし、チームでもあと一歩、あと半歩出してクリアし切るっていうのを今練習からずっと続けて、自分がやっぱり最初にやんないとチームは動かないと思うんで、自分が最初にやるっていうことはもう常に意識しています」。今回の日本高校選抜選考合宿は、U-17ワールドカップで活躍したMF名和田我空(神村学園高2年)、FW高岡伶颯(日章学園高2年)も参加。彼らのプレーを間近で見て、また吸収しようとしている。

「やっぱり自分にとって凄くいい刺激になっています。高岡だったらもう推進力が凄いし、名和田だったら逆に狭いところではたく能力だったり、広い視野を持ってプレーできるっていうところでは、やっぱり自分に全然足りてないところを持ってる人たちだと思うので。一緒にやれてるっていうだけでも凄く嬉しいんですけど、そういうのは持ち帰りたい。僕、結構、『模倣が得意』なんで。あのスピードとかっていうのは、やっぱりトレーニングしないとできないですけど、視野だったりっていうところは意識すれば少し良くなるんで、自分のプラスになるように吸収しています」

 今年は日大藤沢での最終学年。元々キープ力が高く、出力の高い攻守、ボランチ、SH、SBで高いレベルのプレーができる万能性も注目だ。ただし、現状の力ではすぐにプロへ行って活躍できるとは思っていない。だが、「これからの一年で絶対改善できると思う」。得意の「模倣する力」も活かし、身につけたモノをさらに磨いてトッププレーヤーになることを目指す。

 22年度、日大藤沢はインターハイ3位に入ったが、プリンスリーグ関東参入戦で敗れ、選手権も初戦で近江高(滋賀)にPK戦で敗れている。「あと一歩のところで勝てなかったっていうところがあったんで、今年はあと一歩で絶対負けないところだったり、 あと一本決めきるところをもっと突き詰めてやっていけたらなって風に思います」。水戸へ進んだ左SB尾野優日(3年)をはじめ、タレント揃いだった先輩たちを超えることが簡単ではないことは理解している。それでも、超えて初の日本一やプリンスリーグ関東昇格を果たす。

(取材・文 吉田太郎)


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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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