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[新人戦]魅せて、勝つことが目標。帝京大可児が3-0で岐阜決勝へ進出

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後半28分、帝京大可児高のエースFW加藤隆成主将が試合を決定づける2点目をマーク

[2.3 岐阜県高校サッカー新人大会準決勝 帝京大可児高 3-0 大垣日大高 長良川球技メドウ]

 令和5年度岐阜県高等学校サッカー新人大会の準決勝が3日に行なわれ、帝京大可児高と大垣日大高が対戦。MF佐光慶祐(2年)の先制点を皮切りにゴールを重ねた帝京大可児が3-0で勝利した。4日の決勝では美濃加茂高と対戦する。

 今年の帝京大可児は昨年の選手権でベンチ入りした選手が10人も残る期待の年。代名詞であるテンポよくボールを動かせる選手も揃っている。「残っているメンバーの数から言えば、全国で上位を目指さなければいけない」と仲井正剛監督は口にするが、そう簡単に上手く行かないのがサッカーの難しさでもある。「今日はいきなり(先行きが)不安になった。こんなはずではなかった」と指揮官が苦笑いしたように、満足の行かない試合展開となった。

 原因は中盤の停滞だ。DF川上慧(2年)と石田凱大(2年)の両SBが内側にポジションをとってビルドアップに関与するのが、帝京大可児のスタイル。昨年はSBに押し出される形で、ボランチのMF吉兼伶真(3年)が前方に抜けることで相手のラインが下がり、攻撃が機能していたが、この日は中盤の動きが少ない。攻撃に停滞感が漂った結果、ただボールを動かすだけになり、大垣日大の前プレスに引っ掛かる場面も散見した。

 それでも、前半10分には石田のパスを左の高い位置で受けたMF明石望来(2年)が中央にパス。MF松井空音(2年)のシュートはミートしなかったが、佐光が押し込んで試合を動かした。12分にも松井のパスから明石がクロスを入れ、佐光がゴールを狙うなど上手く行かないながらも左サイドから見せ場を作る。

 後半に入ってからも悪い流れは断ち切れない。「後半の立ち上がりからシュートを打たれてたり、いつ決められてもおかしくなかった」と振り返るのは主将のFW加藤隆成(2年)だ。大垣日大は自陣から繋ぐ帝京大可児に対して前からのプレスを徹底。ボールを奪うと技巧派のMF渡邊朝日(2年)による持ち運びやFW沢田泰和(2年)の力強い突破でチャンスを伺う。

 後半5分にはMF片山挺(2年)が高い位置で帝京大可児のパスワークを引っ掛けると、こぼれ球を拾った渡邊がドリブルからシュート。9分には右サイドMF栗田陸翔(2年)からのパスを受けた片山が振り向きざまにゴールを狙う。

 苦しい流れを断ち切ったのは、エースと10番、キャプテンの三役を担う加藤の一発。「相手は後半20分を過ぎたぐらいから足が止まってきた。ボランチが空いて自分たちのやりたいサッカーができてきたし、CBがきつそうでもあったので裏が空くと思っていた」。そう振り返る加藤は後半28分に相手DFの背後を狙ったMF伊藤彰一(1年)のフィードから、上手くゴール前に入って2点目を決めた。試合終盤には途中出場のMF五十嵐瑛人(2年)もゴールネットを揺らし、終わってみれば3-0で勝利した。

 22年度の選手権は、帝京大可児のサッカーができずに岡山学芸館高に敗退。昨年はインターハイ、選手権ともに良さを見せることはできたが、狙っていた上位進出は果たせなかった。「うちのサッカーで勝てるようにしなければいけない」と指揮官が口にする通り、今年は帝京大可児らしく魅せて勝つのが目標だ。そのために近年拘っている相手の守備を崩すのではなく、突破する形に磨きをかけていくという。この日は上手く行かない場面も多かったが、狙い通り上手く背後をとることで相手の守備を突破した2点目のような形が生まれたのは収穫と言えるかもしれない。

「全国で少し勝つだけではなく、しっかり準決勝やベスト8に絡めるよう準備していきたい。これまでベスト16やその前で負けてきたので、自分たちが歴史を作りたい」。加藤が意気込む通り、チーム最高成績を塗り替えるためのこれから準備を進めていく。

(取材・文 森田将義)
森田将義
Text by 森田将義

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