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イニエスタ&大迫欠場の神戸、大胆ターンオーバーもアジア4強届かず…延長戦で全北現代のパワーに屈す

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延長戦で敗れたヴィッセル神戸

[8.22 ACL準々決勝 神戸 1-3(延長) 全北現代 埼玉]

 AFCチャンピオンズリーグ(ACL)は22日、埼玉スタジアム2002で東地区準々決勝を行い、第1試合はヴィッセル神戸全北現代(韓国)に1-3で敗れた。後半19分に途中出場のMF汰木康也が先制ゴールを奪ったが、わずか2分後に同点を許すと、延長戦で相手のパワーに屈して2失点。2年ぶりのベスト4には届かなかった。

 神戸は2020年に続くベスト4入りをかけた一戦。MFアンドレス・イニエスタとFW大迫勇也はベンチを外れ、3-2で競り勝った横浜FMとの決勝トーナメント1回戦(ラウンド16)から先発7人を入れ替えるターンオーバー布陣で臨んだ。連続先発はGK前川黛也、DF小林友希、DF酒井高徳、MF山口蛍のみ。19歳のDF尾崎優成、元Kリーグ選手のMF小林祐希とFWステファン・ムゴシャを先発に送り込んだ。[スタメン&布陣]

 夏場では異例の午後4時キックオフということで、互いに消耗を避けた試合の立ち上がり。全北はロングボールを交えながら左サイドのFWマドウ・バロウの突破力を活かし、パワフルな攻撃を狙う。対する神戸は山口と小林祐のダブルボランチを使って攻撃を前進させ、酒井が随所で豪快な攻撃参加を見せた。

 神戸は前半10分に最初のチャンス。小林友のロングフィードに酒井が抜け出し、ゴール前に折り返すも、ムゴシャにはわずかに通らない。同20分には小林祐のスルーパスで相手の中途半端なクリアを誘うと、セカンドボールを拾ったFW小田裕太郎がカットインから左足で狙うも、GKの正面に飛んだ。

 なかなかテンポの上がらない全北は前半27分、元JリーガーのMFキム・ボギョンに代わってFWキム ・ジンギュを投入。早々に交代カードを1枚使った。同35分、ドリブルを仕掛けてきたFWソン・ミンギュを小林祐が倒し、自陣ゴール右斜め前でFKを献上。だが、MFペク・スンホのシュートは大きく外れた。

 神戸は前半38分、最終ラインを起点としたビルドアップから酒井が左サイドを突破し、左足でのアーリークロスにMF郷家友太が反応するも、体勢が悪くヘディングシュートは枠を捉えられない。その後は全北が左サイドのバロウとDFキム・ジンスで何度も突破し、クロスで神戸守備陣を脅かしたが、小林友を中心に踏ん張りを見せ、そのままハーフタイムを迎えた。

 神戸は後半開始時、小田に代わってMF飯野七聖を投入。ラウンド16で初ゴールを含む全3得点に絡んだ背番号2に攻勢を託した。対する全北もMFハン・ギョウォンに代わって189cmのFWグスタボ・エンリキ・ソウザを投入し、前線にパワーを加えた。

 神戸は後半5分、最終ラインに降りてボールを受けた山口のロングフィードに飯野が抜け出すも、トラップが流れてシュートには至らない。同9分には立て続けにバロウの突破を許したが、エリア内で強さを見せて失点は免れた。同16分、またもバロウに起点をつくられ、右サイドを崩されるも、飯野が懸命なプレスバックで時間を創出。切り返しからのペク・スンホの左足シュートは枠を外れた。

 神戸は後半16分、MF中坂勇哉に代わって汰木を投入。すると直後に試合を動かした。同19分、汰木のドリブル突破で獲得した左CKは小林祐が蹴るも相手にクリアされ、右で拾った山口のクロスも左に流れたが、小林祐がシュート性のボールをゴール前に送り込む。これは相手にブロックされたが、拾った尾崎が振り向きざまのシュートを放つと、GKが弾いたボールを汰木が押し込んだ。

 ところが後半21分、神戸は左サイドで組み立てに参加した山口のパスが流れ、グスタボに拾われると、そこからのスルーパスが左サイドのバロウへ。猛スピードで疾走するバロウに尾崎もなんとか追走したが追いつけず、GK前川との1対1を制され、先制からわずか2分で追いつかれた。また同25分にも危険なシュートを放たれたが、そこは酒井が決死のブロックを見せた。

 神戸は後半28分、郷家が果敢なドリブル突破からミドルシュートを放つも、わずかに左上へ。同29分には一挙に3枚を交代し、郷家、小林祐、DF槙野智章に代わってFW武藤嘉紀、MF大崎玲央、DFマテウス・トゥーレルを投入した。

 その後は停滞した時間が続き、神戸は後半45分の汰木のカットインシュートも枠外へ。アディショナルタイムは全北の一方的な猛攻を受けたが、キム・ジンギュのヘディングシュートを前川がスーパーセーブで阻むと、DFキム・ムンファンのミドルシュートも前川が横っ飛びで阻み、かろうじて1-1で規定の90分間を終えた。

 神戸は延長戦開始時、尾崎に代わってDF山川哲史を投入。その後も全北の優勢は変わらず、サイドを起点に崩され続ける。延長前半3分、小林友が最終ラインで入れ替わられ、FWムン・ソンミンに抜け出されたが、アーリークロスはM・トゥーレルがうまく触って処理。それでも同14分、左を突破したバロウからのクロスをグスタボに高い打点のヘディングで押し込まれ、パワーに屈する形で逆転を許した。

 延長後半は相手のボール保持に猛烈なプレッシャーをかけ、なんとか得点を狙いに行った神戸。同4分にはパワープレーで攻撃参加していたM・トゥーレルが惜しいシュートを放った。また直後のCKでは次々にシュートチャンスを迎えるも、懸命に守る全北守備陣を破れない。同8分、豪快なドリブル突破を見せた汰木のカットインシュートも枠を外れた。

 神戸はアディショナルタイムに酒井のクロスからムゴシャがヘディングシュートを放つも枠外。終了間際にはCKのチャンスを迎えたが、相手GKにクリアされると、攻撃参加していたGK前川の裏を突かれてムン・ソンミンのゴールを許し、万事休す。神戸のアジア挑戦は8強で幕を閉じた。

(取材・文 竹内達也)
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