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神戸はアジア8強敗退…槙野が明かした葛藤「これまで僕が出ていたACLとは違う」

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試合後、第2試合のウォーミングアップに向かう浦和DF酒井宏樹と握手をかわす神戸DF槙野智章

[8.22 ACL準々決勝 神戸 1-3(延長) 全北現代 埼玉]

 延長戦の末に全北現代(韓国)に屈し、ヴィッセル神戸のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)はベスト8で幕を閉じた。試合後、吉田孝行監督は「選手たちは120分間、諦めることなく戦ってくれたし、よくやってくれたと思う」と選手を労いつつ、「結果は残念だし、神戸から駆けつけてくれたサポーターには申し訳ないけど、現状を真摯に受け止めて、Jリーグに切り替えて頑張っていきたい」と残留争いに巻き込まれているJリーグ終盤戦に目を向けた。

 吉田監督はクラブ最高成績タイの4強入りがかかる一戦に向け、決勝トーナメント1回戦の横浜FM戦(○3-2)から先発7人を変更。連続先発はGK前川黛也、DF小林友希、DF酒井高徳、MF山口蛍のみで、19歳のDF尾崎優成を抜擢するなど、大胆なターンオーバー編成を敷いた。

「この過密日程で、勝っても2日後に試合があり、ましてや今日のキックオフは夏の暑さで16時というのを考えると、3試合全て勝つことを前提に考えた時、今日はスタメンを入れ替えたほうがいいという判断をした」。コンディションが懸念されていたMFアンドレス・イニエスタ、FW大迫勇也もベンチから外れた。

 前半は落ち着いた展開でしのぎ、後半に投入されたMF汰木康也が先制ゴール。ここまでは理想的な展開だった。しかし、わずか2分後に山口のパスミスからカウンターを食らって失点。「気を緩める気持ちはなかったにしても、どこかに甘さがあったのかもしれない。防ごうと思えば防げた。カバーリングに行けていれば防げたのかなと思った」(吉田監督)。振り切られたのは先発抜擢された尾崎だった。

 そのまま迎えた延長戦では、助っ人の働きが明暗を分けた。神戸は先発出場したFWステファン・ムゴシャが全くボールを収められないのに対し、全北はバロウのクロスからFWグスタボ・エンリキ・ソウザが決勝点。「FWで万全な選手がいない。武藤も怪我から復帰したばかりで万全ではない。ターゲットマンとして頑張ってもらおうということで120分間使った」と吉田監督。Kリーグで実績を持つ元モンテネグロ代表FWのブレーキは想定外だった。

 この敗戦により、神戸のACLは8強で終幕。アジアナンバーワンの座には届かなかった。試合後、2017年に浦和でACL優勝経験を持つDF槙野智章は「本当に不思議なんですけど、プレーオフ、予選リーグ、決勝トーナメントで僕らは全部監督が代わっているので。それぞれ監督も代わって、戦術も変わって、選手も代わっているので、正直この大会を通してチームで前進した部分はちょっといま答えられない」と悲痛な心境を吐露。神戸で1年目のACLに「一人一人この大会に向けたモチベーションも違ったし、これまで僕が出ていたACLとは違うような気がしていた」と葛藤を明かした。

 J1リーグでは現在、プレーオフ圏の16位と苦戦しており、9月3日からは残留争いに向けた戦いがスタートする。吉田監督は「この大会にみんなかけていたので、しっかりレスト(休養)を与えたい。レストを与えてトレーニングを積んで、切り替えていければ」と意気込んだ。また槙野は「リーグ戦、マリノス戦も見せたようなサッカーで掴みかけたものはある。今後、ピッチで出せる」と直近の戦い方に手応えを述べつつ、「下位に沈んでいる直接対決も多いし、シックスポイントゲームと言われる試合が多いので、総力戦になる。とにかくみんなで不細工でもいいので勝ち点を積み上げることが一番」と前を見据えた。

(取材・文 竹内達也)
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