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失点で焦り、十分に出し切れなかった力。名門・流経大柏は2年連続で千葉決勝に届かず…

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名門・流通経済大柏高は千葉準決勝で敗退に

[11.5 選手権千葉県予選準決勝 日体大柏高 2-1 流通経済大柏高 柏の葉公園総合競技場]

 連覇を目指した1年前は、まさかの初戦(準々決勝)敗退。選手権千葉県予選決勝進出が、12年連続でストップした。雪辱のための準備を進めてきたが、日体大柏高との柏ダービーで1-2。今年も決勝を前に敗れる結果となった。

 選手権、インターハイ、そして“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグで日本一の経験を持つ名門・流通経済大柏高は現在、プレミアリーグEASTで12チーム中6位。9月末から昌平高(埼玉)、旭川実高(北海道)、横浜FMユース(神奈川)に3連勝するなど自信を持って大会に臨んでいた。

 だが、この日はリーグ戦でできていたことを十分に発揮することができなかった。前半は相手の長いボールに間延びさせられた面もあり、プレスに行き切れない。強みの一つである球際の勝負で劣るシーンも増加。また、攻撃面ではベンチの榎本雅大監督から「もっとチームでやるんだよ!」という声が飛んでいたものの、サイド攻撃に人数を掛けられず、単調なモノになってしまっていた。

 前半12分の失点も、選手たちに重くのしかかった。榎本監督は、「『0-1の状況でも点を取ることは変わらない』と言うけれど、焦ってしまう。『自分たちで上手くいかない』、というようにしてしまっている感じ」と首を振る。

 榎本監督の下、奪い返したボールを一つ丁寧に繋いでから攻めることに取り組んできた。だが、焦ってミスの数を増やしてしまう。「思いのほか……攻撃の形が全然できなかった」と指揮官。マジメな選手の多い3年生を中心に、それぞれが良く戦っていたものの、焦りが影響して自分たちの特長を十分に出し切れない時間が続いてしまった。

 後半開始から、「(他の前線の選手たちが好調だったことと)前の試合、イエローをもらっていたので長い時間というよりも切り札的に使おうと」(榎本監督)という理由でベンチスタートだったU-17日本代表MF柚木創(2年)を投入。連動した攻撃からチャンスの数を増やしたが、逆に23分、セットプレーからの失点で突き放されてしまった。

 残り時間は17分。流経大柏ならば挽回可能な時間があった。U-17日本高校選抜CB塩川桜道(3年)を前線へ上げて相手を押し込み、ゴールをこじ開けようとする。だが、日体大柏の守りは堅く、逆にカウンターからピンチも。それでも、GK土佐昂清(3年)が38分、39分に連続でファインセーブするなど粘り、40+3分には交代出場で攻撃力を発揮していたFWオラツンジ・アダム(3年)がPKを獲得する。

 これをMF中田旭主将(3年)が右足で決めて1点差。ベンチ、スタンドも盛り上がる。そして、セットプレーなどから同点を目指したが、集中力、強度の高い相手から次の1点を奪うことができなかった。

 塩川やCB高橋力也(3年)、FW山口裕也(3年)、柚木ら力のある選手も多かったが、千葉準決勝で敗退。榎本監督は「これで決勝まで2年連続で行けていないので考え方というか……もう一回気を引き締めて、自分たちのらしさをしっかり出し切ってという試合ができるように。どの試合も出し切れないという感じが出ちゃっているので、プレミアとかだったら出し切る試合もあるのにな。難しいですね」。再び全国舞台で輝くことを目指し、挑戦を再スタートする。 

後半40+3分、流通経済大柏高はMF中田旭主将が右足PKを決め、1点差に迫ったが…
 
(取材・文 吉田太郎)

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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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