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“経験不足”も逆手に取れば…W杯メンバー滑り込んだMF相馬勇紀「一発やってやろうと」

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日本代表MF相馬勇紀(名古屋)

 たとえ短い時間であったとしても、夢の大舞台でインパクトを残す準備はできている。日本代表MF相馬勇紀(名古屋)は当落線上からのカタールワールドカップメンバー入り。ウインガーのポジションは出番争いにおける最激戦区の一つだが、「本当に一発やってやろうという気持ちでいる」と力強く語った。

 東京五輪で日の丸を背負った相馬は今年7月、国内組で臨んだEAFF E-1選手権で3ゴールの大活躍を見せ、最優秀選手賞を受賞。そのパフォーマンスが評価され、9月に欧州組も交えた日本代表に初めて選ばれた。そして迎えた第2戦のエクアドル戦では、短い出場時間の中で存在感を猛アピール。W杯メンバー26人に逆転で滑り込んだ。

 今月1日に行われた発表会見、相馬にメンバー入りの確信はなかったという。「戦う自信、自分がやれるという自信は持ちながらも、E-1からA代表に入って、欧州遠征では出場時間も長くなかったし、直接的な結果を残したわけではなかった。自分の持ち味を示せたプレーは何回かあったなと思いつつ、どっちなんだろう、五分五分くらいかなと思いながら見ていた」。それでもいざ選ばれれば、自らの使命を冷静に受け止めていた。

「まずは闘えるところを評価してもらっているのかなというところ。五輪の時も僕はまずチームのためにどれだけ戦えるか、守備や攻撃でチームの決まり事をやりながら自分の良さを出そうと思うタイプ。そういった献身性の部分を大きく評価してくださったと思っている」

 走る、闘う——。そうした仕事に加えて相馬の武器はサイドを切り裂く突破力。相馬が得意とする左サイドにはMF久保建英、MF三笘薫ら強力なドリブラーがひしめくが、「自分は仕掛けるところは持ちながらも、裏を狙って背後へのランニングが多い。他の選手との違いでサイドを切り裂けると思っている」と自信を示す。

 今回のメンバーではFW大迫勇也、MF原口元気といったロシアW杯経験者が外れ、生き残ったのが当落線上とみられていた相馬やFW上田綺世。メンバー全体を見ればW杯経験者は26人のうち7人にとどまっており、ストライカーやサイドアタッカーには一人もいないことから、経験不足を指摘する声も上がっている。

 しかし、相馬はそうしたウィークポイントをさまざまな取り組みで乗り越えていく構えだ。

「僕はまず国内組なので、経験不足と言われちゃうのはしょうがない。もう物理的に、立ち位置としてもしょうがないと思う。ただ、僕は主にトゥーロン国際大会だったり、オリンピック、この間のエクアドル戦で海外のチームと戦ったことがあるけど、瞬発力のところやフィジカルのところは別に負けないなっていうふうに思ってる。たとえばここで全ての試合で点を取ったら、一気にそういった評価は変わるわけで、(大事なのは)試合で何ができるか。経験不足というところをその試合の結果で覆したいとも思う」

「ただ経験している選手としていない選手との差はあると思うので、経験している選手に話を聞くこともそうだし、結局やるのはピッチなので、相手がどういうことをしてくるかというところをしっかり分析していけば、その経験は少し埋められるんじゃないかと思っている。経験じゃない部分で経験の差を埋められたら。イメージしてやることしか方法はないと思うし、とにかく自分のコンディションを最大限上げて、あとはイメージや分析で補っていきたい」

 何より日頃Jリーグでプレーしていることや、トップレベルの舞台の経験が少ないことは、デメリットばかりではないと捉えている。相馬が目指すのは「相手の予想を裏切る」ようなプレー。「他の選手に比べたら情報が少ないと思うので、特に一つ目のプレーをすごい大切にして、一気に畳み掛けて、そこで得点を取るというところを意識していきたい」。情報の少なさを逆手に取り、並居る強敵を食っていく構えだ。

(取材・文 竹内達也)

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