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J2町田vs秋田のノーゴール誤審をJFA審判委が説明「与えられた環境の中で少しでも的確な判定に」

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 日本サッカー協会(JFA)の審判委員会は26日、レフェリーブリーフィングを開き、今月8日に行われたJ2第8節のFC町田ゼルビアブラウブリッツ秋田戦で誤審があったと認めた。冒頭で扇谷健司審判委員長が「映像から見ると得点すべきだと認めなければいけないと思っている。チームとして大切な1点を失ったことに大きな責任を感じている」と説明した。

 試合では前半8分、秋田FW青木翔大がピッチ中央からロングシュートを放って枠内を捉えると、町田GKポープ・ウィリアムが防ごうとしたが、なんとか触れたボールがゴールラインの向こう側に落下。その後、ポープがボールを手でかき出す形となった。

 山本雄大主審はゴール判定をせず、0-0のまま試合が継続。結果的には終盤に秋田が先制点を奪い、1-0で勝利したが、大きな疑問の残る判定となった。試合後には秋田が公式声明を発表し、「クラブとしては本件について、マッチコミッショナーを通じて申し入れを行っており、また後日、正式に文書にてJリーグに提出も行う予定です」と伝えていた。

 ブリーフィングの冒頭では扇谷委員長が「町田対秋田で本来得点と認められるべきものが認められない事象が起きた」と切り出し、「映像から見ると得点すべきだと認めなければいけないと思っている。チームとして大切な1点を失ったことに大きな責任を感じている」と釈明。続けてJFA審判マネジャーJリーグ担当統括の東城穣氏が誤審が起きた経緯を説明した。

 東城氏が公開した資料によると、こうしたゴール判定は副審の役割。正確な判定をするためにはゴールライン上で事象を見なければ困難だという。もっとも、副審がゴールラインに間に合わない場合もあり、その際にはゴールラインに向かって動きながら判定するのが通例。その際、トップスピードに走ると視野がぼやけたり、動体視力が低下したりという問題がある。

 それでも今回のケースは「ゴールライン上にいなくても得点かどうかを判定できる可能性はある」と指摘。資料では競技者の位置、DFやGKがどれだけゴール内に入ってるか、競技者とボールの比較、ボールが地面にバウンドした位置が判断材料になるとされ、東城氏は副審の心得として「トップスピードに動いてしまうが、スピードを緩めて視野をぼやけさせないだとか、動体視力を低下させないこともオプションとして必要」と述べた。

 また今回のケースは「見極めが非常に困難な事象であることは十分理解している」としつつも「ただ今後も似たような事象はどのカテゴリーでも起きる可能性がある」と東城氏。「与えられた環境の中で少しでも的確な判定につなげるために、フィールド上の審判員としてできることを常に考え、それに対して最大限のベストを尽くす」という姿勢を強調した。

(取材・文 竹内達也)
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