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中2日で完封勝利も鳥栖GK朴一圭「今日はレッズさんのほうが難しかったと思う」

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サガン鳥栖GK朴一圭

[5.10 J1第10節 浦和 0-2 鳥栖 埼玉]

 アジア王者に輝いたばかりの浦和レッズに対し、サガン鳥栖が敵地で勝ち点3を奪った。ミスを見逃さない2ゴールも見事だったが、陰の立役者となったのは前半40分に危険なシュートを立て続けにセーブするなど、失点を許さなかったGK朴一圭。それでも頼れる守護神は試合後、相手チームが置かれていた状況への配慮を口にしつつ、冷静にチームの伸びしろを見つめていた。

「正直に言うと、うちが決してすごく良かったわけではなくて、前半から劣勢だった。レッズさんのほうが正直に言って難しかったんじゃないかと思う」(朴)

 対戦相手の浦和は先週末に行われたAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝アルヒラル戦から中3日でのリーグ再開戦。鳥栖も前節の川崎F戦(●0-1)から中2日でのアウェー連戦となったが、Jリーグによって組まれた日程の難しさは浦和に不利に働いていたと感じていたようだ。

「このゲームにあたってはACLを獲ってから中3日で、こうして大会が変わって、リーグに戻ってきてやるという中で、連戦で出ている選手もいれば、新しく入ってきた選手もいる。モチベーション的なところも含めて、間違いなく少なからず影響はあったと思う。その中でちょっとレッズさんのパワーがなかったのかなと。最後のクオリティーのところだったりで正直、救われたところが多かった」

 一方の鳥栖はACL制覇を成し遂げたばかりのクラブに挑戦できるという状況。またミッドウィークの単独開催ということもあり、おそらく寄せられるであろうサッカーファン全体の注目もモチベーションになっていたという。

「アジアチャンピオンになったレッズと一発目で当たれる、今日はDAZNでうちしかない。DAZNでいろんなサッカーファンの方々がレッズとうちの試合だけを見るという、サッカー選手としてモチベーション上がることしかない。今日は1試合しかやっていないから、俺たちのプレーを見てくれると言うだけで嬉しいじゃないですか」

 直近の試合ではペナルティエリア内に人数が揃っている状態でも崩され、苦しい失点が続いていた鳥栖。データツール『Statsbomb』によると、前節までの朴は1試合あたりの被シュート数が「13.84本」、被枠内シュートも「5.28本」でそれぞれリーグ最多。枠内に飛んできたボールのゴール期待値「1.45」もリーグ2位と高く、多くの守備機会を強いられていた。

 ところがこの日はそうした守備面の軽さは影を潜めた。「自分たちがやりたいことも出しながら我慢強くやれた。我慢できた時間帯に我慢できて、ああいうふうにミドルシュートを打って刺してくれた。とにかく我慢できたことが今日の要因かなと思う」。そう試合を振り返った朴は我慢強く守れた要因を次のように語った。

「こちらのほうがシンプルにモチベーションが高かったし、絶対に倒してやるという気持ちが強かったのが、あのゴール前での気迫につながっていると思っている。今日に関してはそこの差だと思う。もちろんACLを見ていたけど、それと比較すると、どちらかというとレッズさんはちょっとパワーが落ちているんじゃないのかなと感じは見受けられた」

 次の課題はこうした強固な守備をコンスタントに発揮できるようにしていくことになりそうだ。

 また川井健太監督の下での鳥栖は攻撃に重きを置いたチーム作りをしている中、朴はフィールドの選手の攻撃への意識にもさらなる奮起を促した。

「課題はまだまだめちゃくちゃある。当たり前だけど、止めて蹴るももっとちゃんとやらないとダメだし、絶対に失ってはいけないところで失ってしまう。縦パスが一本入った時に全体がスプリントして上がって、相手の敵陣まで入っていく作業をもっとしないとダメ。まだまだ課題だらけです」。2ゴールを挙げての完封勝利にも慢心はなし。鳥栖の守護神はまだまだ高みを見据えていた。

(取材・文 竹内達也)
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