beacon

2か月前までは尚志のサブでクローザー的存在。謙虚に成長の190cmCB渡邉優空が日本高校選抜の先発候補として躍動中

このエントリーをはてなブックマークに追加

尚志高DF渡邉優空(3年=湘南ベルマーレU-15出身)が日本高校選抜の先発候補として躍動中

[1.23 練習試合 日本高校選抜候補 4-2 U-17日本高校選抜候補]

 11月の選手権福島県予選までは、尚志高(福島)のサブで試合終盤に投入されるクローザー的な存在。その後、主力CB高瀬大也(3年)の負傷によって先発となった大器が一躍、日本高校選抜で先発候補となるほどの活躍を見せている。

 DF渡邉優空(3年=湘南ベルマーレU-15出身)は、尚志の主将を務めた190cm、84kgの大型DFだ。尚志の仲村浩二監督も「ポテンシャルは日本代表クラス」と認めていたほどの素材だが、まだまだミスなどの課題も多く、また尚志のCBにはインターハイ優秀選手の高瀬と日本高校選抜候補DF市川和弥(3年)という全国トップクラスの2人がいたためにサブに回っていた。

 日本一を目指した選手権で渡邉は先発出場したものの、初戦敗退。満足の行くプレーをすることができなかった。だが、自身も驚く日本高校選抜候補選出。「世間的にも納得いかない部分が自分(のメンバー入り)にはあると思っています。その中で自分はプレーで示さなきゃいけない。プレー以外の声とかリーダーシップも特長だと思っているので、このチームはチームリーダーが多いですけれども、その中で発揮できたらなと思ってます」。与えられたチャンスを全力で活かすだけ。ピッチ上では熱量を感じさせる動きで存在感を放っている。

 21日の日本体育大との練習試合では2本目に出場。25分間で1-0とリードする中、終盤は相手がクロス、CKを次々とゴール前へ入れて来ていた。だが、渡邉がことごとく競り勝って頭でクリア。そのまま無失点で終えると、続く22日の東京国際大戦ではU-17日本高校選抜経験者中心の3本目に出場し、0-0と再び無失点で終えた。

 そして、この日は主力候補の1本目メンバーとして出場。190cmDF小泉佳絃(青森山田高3年)、185cmDF塩川桜道(流通経済大柏高3年)と3バックを組むと、中央で米澤一成監督(京都橘高)も期待する声、活力ある動きを積極的に発揮し、チームに明るさ、エネルギーをもたらしていた。

 小泉、塩川の2人や尚志のチームメートであるMF神田拓人(尚志高3年)のサポートも受ける形で無失点。「やっぱり周りが上手いので、自分がやりやすいようにみんなやってくれて、今日で言ったら(塩川)桜道と(小泉)佳絃が上手くて、ボランチも神田はいつも通りやってて、やっぱり(計4人選出された)尚志が多いっていうのも大きいと思います」。合宿中、自分の特長を表現できたという手応えもある。

「特長であるヘディングっていうのは、やっぱり練習試合も通して出せたと思っていて、それ以外にもフィードは3年間磨いてきたので、 やっぱり今日も何本か出てたので、そこは良かったなと思います」と微笑んだ。

 プレミアリーグEASTで尚志は最終節まで優勝を争い、2位。渡邉は15試合に出場しているものの、出場時間は707分間と短い。それでも、挫けなかった。「自分は(高瀬)大也と(市川)和弥に対してまだ劣ってると思っていて、力が足りてないと思っていて。やっぱりアイツらがいたからこそ、この3年間本当に切磋琢磨できたと思っているので、やっぱり一番チームメートに感謝しています」。常に公式戦同様の強度を求められる尚志の日常も大きかったようだ。

「普段、コムさん(小室雅弘コーチ)から『練習試合も、紅白戦も全部同じでやれ』って言われていて、自分たちは日本一の紅白戦を掲げてて、それを3年生の時にできたからこそ、やっぱこういう場面でも普段通りにできたかなと思ってます」

 謙虚に尚志で培ってきた力によって、強烈なアピール。デンソーカップチャレンジや欧州遠征を行う日本高校選抜入りの可能性を高めている。「自分はやっぱり大学4年間でもっと自分の力を磨いて、成長して、プロになりたいと思っている。そのためには、大学に入る前に こんな素晴らしい挑戦の場を頂けたので、メンバーに入れるかまだ分からないですけど、入れたら自分の力をもっと成長させるようにして、チームに還元していきたい」。大器は尚志の日々、高校選抜、そして今後の4年間全ての経験を糧にして大きく羽ばたく。

(取材・文 吉田太郎)


●第102回全国高校サッカー選手権特集
吉田太郎
Text by 吉田太郎

TOP