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日本敗戦も“賭け”に勝つ!フェアプレーポイントでセネガル上回り2位通過

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日本は後半14分、セットプレーから失点

[6.28 W杯グループリーグ第3節 日本0-1ポーランド ボルゴグラード]

 日本代表は28日、ロシアW杯グループリーグ第3節でポーランド代表と対戦し、0-1で敗れた。しかし、H組もう1試合でコロンビアがセネガルに1-0で勝ったため、日本の2位通過が決定。コロンビアが逆転で首位突破を果たし、日本は勝ち点、得失点差、総得点で並んだセネガルをフェアプレーポイントで上回った。2大会ぶり3度目の決勝トーナメント進出を果たした日本は7月2日の決勝トーナメント1回戦でG組1位(ベルギーかイングランド)と対戦する。

 日本は3戦目にして初めてスタメンを変更し、24日のセネガル戦(2-2)から6人を入れ替えた。FW岡崎慎司、FW武藤嘉紀、MF宇佐美貴史、MF山口蛍、DF酒井高徳、DF槙野智章が今大会初先発となり、武藤、酒井高、槙野はW杯デビュー。GK川島永嗣、DF酒井宏樹、DF吉田麻也、DF長友佑都、MF柴崎岳の5人は3試合連続で先発した。システムも4-2-3-1から4-4-2に変更。GK川島がゲームキャプテンを務め、4バックは右から酒井宏、吉田、槙野、長友と並んだ。中盤は山口と柴崎のダブルボランチで、右サイドに酒井高、左サイドに宇佐美。前線は岡崎と武藤が2トップを組んだ。[スタメン&布陣はコチラ]

 引き分け以上で決勝トーナメント進出が決まる日本に対し、ポーランドは開幕2連敗ですでにグループリーグ敗退が決まっている。日本は冷静にゲームを進め、前半12分には高い位置で相手のパスミスをカットした武藤がドリブルで左サイドに流れ、オーバーラップしてきた長友にパス。長友のクロスに岡崎が飛び込んだが、得意のダイビングヘッドはゴール左に外れた。

 直後の前半13分、日本は柴崎のロングフィードを宇佐美が落とし、武藤がPA手前から右足でミドルシュート。しかし、これは相手GKの好セーブに阻まれる。同16分には左サイドから武藤、宇佐美とつないで中央の酒井高が左足ダイレクトでミドルシュートを狙ったが、GKの正面を突いた。

 酷暑の中の一戦は膠着状態に入る。ポーランドは前半32分、カウンターからDFバルトシュ・ベレシンスキの右クロスにMFカミル・グロシツキが頭で合わせるが、川島がゴールラインぎりぎりでかき出すファインセーブ。ゴールライン・テクノロジーでもボールはライン上でかき出されていることが場内のビジョンに映し出された。

 スコアレスで折り返した後半2分、日本は岡崎に代えてFW大迫勇也を投入する。岡崎は交代直前、ピッチに座り込む姿もあり、足を引きずるようにしてピッチをあとにした。日本はなかなか決定的な場面をつくれず、試合は0-0のまま推移する。すると後半14分、ポーランドはPA左手前の位置でFKを獲得。MFラファウ・クルザワのキックに走り込んだMFヤン・ベドナレクが右足ボレーで叩き込んだ。

 H組もう1試合のセネガル対コロンビアは0-0のまま後半に入っていた。もしもこのまま日本が敗れ、セネガル対コロンビアが引き分けると、セネガルとコロンビアの突破が決まり、日本は敗退する。一転して追い込まれた日本は後半20分、宇佐美に代えてMF乾貴士を投入。同27分には柴崎の左CKに吉田が頭で合わせたが、枠を捉えられなかった。

 同点に追いつけば、他会場に関係なく決勝トーナメントに進める日本は必死の反撃に出るが、カウンターの脅威にもさらされる。後半29分、ポーランドは速攻からグロシツキが右サイドを抜け出し、グラウンダーのクロス。走り込んだFWロベルト・レバンドフスキが右足で合わせたが、クロスバーを越えた。

 決定的なピンチを相手のミスに救われた日本。他会場ではコロンビアが後半29分に先制した。このまま終われば、コロンビアが逆転で首位突破。日本とセネガルが勝ち点4、得失点差±0、総得点4で完全に並ぶが、フェアプレーポイントの差で日本が2位通過となる。

 後半36分、ポーランドはグロシツキが右サイドの深い位置からクロス。下がりながらの守備となった槙野の左足に当たったボールはゴール方向に飛んだが、川島が鋭い反応で弾き出した。日本は後半37分、最後の交代枠で武藤に代えてMF長谷部誠を投入。中盤のアンカーに入り、4-1-4-1にシステムを変更した。

 コロンビアがリードしているとの情報をもとに0-1で良しとする判断に傾いたか、日本はリスクを冒さない。0-2にされれば得失点差でセネガルに上回られ、3位に転落する。ただ、もしもセネガルが追いついてセネガル対コロンビアが引き分けに終わった場合、日本は負ければ敗退となる。消極的な賭けに出た西野朗監督だったが、場内の大ブーイングの中、ゆっくりボールを回して試合を終わらせた。

 0-1で敗れた日本だが、約1分後にセネガル対コロンビアの試合も目論見どおりそのままタイムアップ。セネガルを1-0で下したコロンビアが首位通過を果たし、日本はフェアプレーポイントの差で2位を死守し、決勝トーナメント進出を決めた。ピッチ上でコロンビア勝利の一報が伝わった日本の選手、スタッフは安堵の感情が強かったか、控えめに喜びを表現していた。

(取材・文 西山紘平)

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