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先発9人変更の森保J、W杯最終予選ラストを白星で飾れず…最下位ベトナムに歴史的ドロー

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前半に先制点を献上

[3.29 W杯最終予選 日本1-1ベトナム 埼玉]

 日本代表は29日、カタールW杯アジア最終予選最終節でベトナム代表と対戦し、1-1で引き分けた。先発9人を入れ替えた日本は前半20分にセットプレーから先制点を献上。主力を投入した後半に攻勢を仕掛け、DF吉田麻也(サンプドリア)が同点ゴールを決めたが、最後まで勝ち越しの1点を挙げることができなかった。ベトナムは過去4戦全敗だった日本から史上初の勝ち点を獲得した。

 今月24日に敵地シドニーで行われたオーストラリア戦(○2-0)で勝利し、カタールW杯出場権を掴んだ日本。森保一監督は1勝8敗で最下位に沈むベトナムに対し、先発9人を入れ替えて臨んだ。システムはこれまで通りの4-3-3。GKには川島永嗣(ストラスブール)が入り、最終ラインは左から中山雄太(ズウォレ)、DF谷口彰悟(川崎F)、DF吉田麻也(サンプドリア)、DF山根視来(川崎F)。中盤はアンカーにMF柴崎岳(レガネス)、MF原口元気(ウニオン・ベルリン)とMF旗手怜央(セルティック)がインサイドハーフに入る3ボランチで、ウイングは左がMF三笘薫(ロイヤル・ユニオン・サンジロワーズ)、右がMF久保建英(マジョルカ)。前線中央にFW上田綺世(鹿島)が入った。旗手はこれがA代表デビューで、三笘は初先発。川島は昨年6月のW杯2次予選キルギス戦(○5-1)以来の出場となった。[スタメン&布陣はコチラ]

 試合は大きくメンバーを入れ替えた日本が序盤から停滞し、相手の守備ブロックに対して有効打を繰り出せない時間が続いた。対するベトナムはアウェーに集まった観衆が感染防止対策に反する大声援で盛り上げ、アグレッシブなプレーを継続。前半17分、日本は久保のパスを受けた原口のシュートが枠を外れると、まさかの先行を許した。

 ベトナムは前半20分、積極的な攻勢から左CKを獲得すると、MFグエン・コン・フォンのキックにDFグエン・タイン・ビンがファーサイドで反応。ヘディングシュートが川島の脇を突いてゴールマウスに吸い込まれた。日本にとっては吉田と中山のギャップに飛び込まれた形。昨年10月のオーストラリア戦以来、6試合ぶりの失点となった。

 その後は次第に前への姿勢が強まり、攻勢を強めた日本。それでも前半23分、柴崎、久保とつないだパスに旗手が反応し、右足でシュートを狙ったが枠を外れると、同26分には右サイドを攻め上がった久保が切り返しから左足でクロス。これに旗手が頭で合わせるも、枠を捉えられなかった。

 さらに日本は前半28分、右サイドで久保がファウルを受けてFKを獲得。柴崎のキックに谷口が合わせたが、ヘディングシュートも枠を外れる。直後の同29分には三笘が敵陣でボールを奪い、パスを受けた上田が強烈なシュートを放つも相手が頭でブロック。同30分、柴崎のミドルシュートも枠を外れ、うまくいかない時間帯が続いた。

 日本は前半35分、柴崎のパスを受けた原口の決定的なシュートも枠外。同40分、三笘のスルーパスに反応した上田のシュートもDFホータン・タイにブロックされた。同45分、三笘が左サイドで次々に相手をいなし、中山のクロスに久保が頭で合わせるも、これもGKの正面。結局、最下位のベトナム相手に0-1のビハインドでハーフタイムを迎えた。

 後半開始時、日本は旗手を下げてMF伊東純也(ゲンク)を投入。伊東は右サイドに入り、久保がトップ下に入る4-2-3-1にシステムを変えた。すると同4分、右サイドに流れた久保が山根との連係で右CKを獲得し、キッカーは久保。左足でインスイングのボールをファーに送り込むと、サインプレーで飛び込んだ柴崎が左足ダイレクトで狙った。だが、これは相手GKがかろうじてセーブ。最初の決定機は活かせなかった。

 それでも後半10分、日本が力技で同点に追いついた。吉田が最終ラインから果敢に持ち上がって左サイドに展開すると、ここに開いていた久保のパスを受けた原口がミドルシュート。これを相手GKがファンブルし、こぼれ球に反応したのは吉田。流れの中から攻撃参加していた主将が鋭い足の振りでゴールに押し込んだ。吉田は2019年10月の2次予選モンゴル戦(○6-0)以来、2年半ぶりのゴールとなった。

 なおも勢いを強める日本は後半18分、山根の鋭い縦パスが上田に入り、中央に絞りながら落としのパスを受けた伊東が鋭いカットインから左足シュート。これは惜しくも枠を外れる。同15分には上田とのワンツーで切れ込んだ久保が左足で強烈なシュートを狙うも、相手GKがファインセーブ。同16分、柴崎、原口、久保を下げてMF田中碧(デュッセルドルフ)、MF守田英正(サンタクララ)、MF南野拓実(リバプール)を入れた。

 最終予選の快進撃を牽引した主力が登場した日本はさらに勢いを強め、後半18分には伊東のスピードを活かしたカウンターで右サイドを切り裂くと、田中のパスを受けた三笘のシュートがGKを強襲。さらに同20分、上田のポストプレーから田中がボレーで狙い、これもGKのファンブルを誘った。上田は同21分にも伊東のクロスに反応し、ニアに入り込みながらヘディングシュート。だが、これは枠を外れて逆転とはいかなかった。

 後半24分、南野のトリッキーなヒールパスから三笘が抜け出すも、ラストパスは味方に通らず。それでも同25分、左サイドの崩しから上田がシュートを放つと、南野に当たって軌道が変わったボールを田中がゴールに押し込んだ。これで日本が逆転かと思われたが、ここでVARが介入。オンフィールド・レビューの結果、南野にハンドがあったとしてゴールは取り消された。

 それでも気を取り直して攻める日本。後半33分には守田が右サイドを果敢に攻め上がり、ファーへのクロスに谷口が反応すると、ヘッドは相手に阻まれたがこぼれ球がゴール前へ。だが、これを拾った吉田のシュートはまさかの枠外。2点目の絶好のチャンスは活かせなかった。

 その後も中山のクロスや伊東の突破でゴールを狙う日本。田中、守田、南野の3枚が巧みに相手の嫌な位置に立ち、相手ペナルティエリア周辺で一方的に押し込んでいく。すると後半42分、谷口のロングフィードを田中が頭で落とし、上田がボレーでゴールに突き刺した。だが、これはオフサイドの判定。田中の位置がオフサイドポジションとされた。

 そのまま最後までベトナムの守備陣を崩すことができず、1-1でタイムアップ。最下位相手のまさかのドローにより、自力での最終予選首位突破はなくなり、W杯抽選会「ポット2」入りは絶望的となった。

(取材・文 竹内達也)
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