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森保J、ベトナムに大苦戦もアジア杯白星発進!! 南野が窮地救った2発、中村敬ミドル弾に上田もダメ押し

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MF南野拓実(モナコ、中央)がチームを救う2ゴール


[1.14 アジア杯グループD第1節 日本 4-2 ベトナム アルトゥママ]

 日本代表は14日、アジアカップグループリーグ初戦でベトナム代表と対戦し、4-2で勝利した。前半早々にMF南野拓実が先制点を奪うも、そこからセットプレーで逆転されて苦しい展開となったが、前半のうちに南野のゴールで追いつくと、FW中村敬斗のスーパーミドルで逆転。最後はFW上田綺世もダメ押しゴールを決め、大苦戦を強いられた初戦をなんとか勝ち切った。

 日本は4-2-3-1のシステムを採用し、GKには鈴木彩艶を起用。4バックは右からDF菅原由勢、DF板倉滉、DF谷口彰悟、DF伊藤洋輝が並び、ダブルボランチはMF遠藤航とMF守田英正が組んだ。2列目は右からMF伊東純也、MF南野拓実、FW中村敬斗のフランストリオ。1トップにはパリ世代エース候補のFW細谷真大が起用された。[スタメン&布陣]

 試合の入りは初戦の難しさかパスミスが続き、ハイプレスをかわされる場面が続いた日本。それでも前半11分、谷口が鋭い縦パスでスイッチを入れると、絞って受けた中村が鋭いターンから左に送り、深い位置まで攻め上がった伊藤のクロスで左CKを得る。

 するとここからさっそく先制点を奪った。伊東の左CKはファーの板倉に合わせるも、シュートにはつながらなかったが、こぼれ球を拾った菅原が思い切って右足ダイレクトシュート。これは相手DFに阻まれるも、セカンドボールを南野が拾い、冷静な右足シュートでゴールに流し込んだ。南野は元日の国際親善試合・タイ戦(○5-0)に続いて2試合連続ゴール。5年前の前回アジア杯も経験した背番号8が結果を出した。

 ところが前半16分、日本はセットプレーからすぐに失点を喫した。相手のドリブル突破に板倉の対応が遅れ、左CKを与えると、MFドー・フン・ズンのニアサイドを狙ったボールにMFグエン・ディン・バクが反応。華麗なバックヘッドをファーポスト際に流し込まれ、同点に追いつかれた。

 その後も日本は高い位置でのプレッシングがなかなかハマらず、ベトナム相手に持たれる時間を作られる。前半26分にはロングパスから背後を取られそうになり、鈴木の冷静な飛び出しとクリアで難を逃れたが、同33分にはグエン・ディン・バクに再び裏を取られ、かろうじてファウルで止めた菅原にイエローカードが出された。

 そして前半33分、日本はこのFKからまさかの逆転を許した。DFファン・トゥアン・タイのFKがペナルティエリア右に放り込まれ、遠藤の上からDFブイ・ホアン・ベト・アインにヘディングで叩かれると、ゴール前に落ちたボールを鈴木が処理できず。ゴール前に走り込んできたFWファム・トゥアン・ハイに冷静に押し込まれた。セットプレー2発を沈めたベトナムの選手たちは歓喜を爆発。日本国旗が数多くはためくスタジアムにも不穏なムードが漂った。

 それでも日本はここから再び押し切った。前半44分、南野のスルーパスに反応した細谷のシュートは相手GKに阻まれたが、左サイドから二次攻撃をスタート。守田のパスを高い位置で受けた遠藤がタメを作って相手DFと駆け引きし、縦パスを差し込むと、これに反応した南野が冷静なコントロールシュートでゴール右隅を射抜いた。2ゴールの南野はA代表通算20点目。史上13人目となる大台に乗せた。

 さらに前半アディショナルタイム、日本は強みの右サイド攻撃がようやく見られ、菅原の折り返しに伊東が反応するも、GKのスーパーセーブに阻まれる。それでも直後、南野のパスをペナルティエリア際で受けた中村がゴール左斜め前から左足を振り抜くと、完璧なミドルシュートをゴール右上隅に叩き込み、日本が逆転に成功した。中村は国際Aマッチ5戦連発で通算6ゴール。これまではエリア内での仕事が多かったが、今度はスーパーゴールで結果を出した。

 3-2でハーフタイムを迎えた日本は後半開始時、周囲との連係が噛み合わなかった細谷に代わってFW上田綺世を投入。現状のベストメンバーと言える布陣をピッチに並べた。またシステムを4-1-4-1に変更し、南野と守田がインサイドハーフ、遠藤がアンカーという中盤の構成に変えた。

 その後は日本のプレッシングと守備ブロックが安定し、ベトナムに良い形での前進を許さない。日本もなかなか決定機を作るには至らないが、後半18分に中村を下げてMF堂安律を右サイドに投入し、伊東を左サイドに移すと、直後に伊東のドリブル突破から守田が惜しいシュート。相手のヘディングブロックでゴールにはならなかったが、伊東の強みが発揮された。

 さらに日本は同24分、板倉のクリアボールを拾った南野が左足ボレーシュート。GKに正面で処理されるも、ハットトリックへの期待を感じさせた。日本は同32分、守田と菅原に代わってMF佐野海舟とDF毎熊晟矢を投入。それぞれ鹿島、C大阪でプレーする国内組2人がピッチに送り出された。

 一方的にボールを握る日本は後半39分、南野に代わってMF久保建英を投入。左太ももの負傷で別メニュー調整が続いていたが、初戦から試運転となった。久保がピッチに入ると、スタジアムからは大歓声が沸き起こった。すると同41分、堂安のパスを受けた久保が優しいパスを出すと、これを受けた上田が右足一閃。相手に当てながらもゴールにねじ込み、4点目を奪った。アシストは久保。出てきてすぐに結果を出した。

 試合はそのままタイムアップ。フィリップ・トルシエ元日本代表監督率いるベトナムに大苦戦を強いられた森保ジャパンだったが、自慢の攻撃力で4ゴールを奪い、3大会ぶりのアジア王座奪還へ白星発進を果たした。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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