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森保JがW杯に続いてドイツ撃破!! 敵地で圧巻4ゴール、復帰の冨安も貫禄ディフェンス

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FW上田綺世(写真左)が決勝ゴール


[9.9 国際親善試合 日本 4-1 ドイツ ボルフスブルク]

 日本代表は9日、ドイツ・ボルフスブルクのフォルクスワーゲン・アレーナでドイツ代表との国際親善試合を行い、4-1で勝利した。カタールW杯での歴史的勝利に続き、またしてもドイツを撃破。内容の面でも前半からMF伊東純也とFW上田綺世が果敢にゴールを決めると、後半は5バックで相手の反撃をいなしつつ、最終盤にも鮮やかな速攻から2ゴール。堂々の試合運びで第2次森保ジャパンでの進化を印象付けた。

 ドイツ側からのオファーで実現した敵地での国際親善試合。森保一監督はカタールW杯グループリーグ初戦と同じ4-2-3-1の布陣で臨んだ。

 GKには広島所属の大迫敬介を国内組で唯一起用し、4バックは左からDF伊藤洋輝、DF冨安健洋、DF板倉滉、DF菅原由勢。ダブルボランチはMF守田英正とMF遠藤航が組み、トップ下はMF鎌田大地。サイドハーフには左にMF三笘薫、右にMF伊東純也が入り、1トップはFW上田綺世が務めた。[スタメン&布陣]

 試合は序盤から日本が最終ラインを高く上げ、コンパクトなミドルブロックでドイツに応戦。カタールW杯の前半に頻発したような押し込まれる場面は少なく、MFイルカイ・ギュンドアンやMFフロリアン・ビルツに高い位置を取られた場面でも守田や三笘がしっかりプレスバックし、ピンチの芽を未然に摘んでいく。

 すると前半11分、日本が先に試合を動かした。遠藤のサイドチェンジが左サイドに通り、三笘が縦に仕掛けて押し込むと、戻したボールを冨安が意表を突いて右サイドに展開。これを受けた鎌田が右にスルーパスを送り、オーバーラップした菅原がクロスを送ると、ニアサイドで合わせた伊東がダイレクトボレーで叩き込んだ。

 伊東は6月20日のキリンチャレンジカップ・ペルー戦(○4-1)に続いて2試合連続ゴール。カタールW杯ではドイツ、スペイン、クロアチア戦でフル稼働し、第2次森保ジャパンでも激しいレギュラー争いの中で輝く30歳が見事に結果を出した。

 その後は日本がボールを保持する時間帯が続いたが、ドイツも意地を見せる。前半19分、やや中に絞ったDFニコ・シュロッターベックを起点にギュンドアン、ビルツとつなぎながら日本の最終ラインを引きつけると、最後は右にラストパス。これに抜け出したFWレロイ・サネが右の大外からエリア内に潜り込み、左足でネットを揺らした。

 ところが日本も主導権を渡さない。前半21分、左サイドで前を向いた三笘が積極的に仕掛けると、キミッヒを一気に抜き去って折り返しのパスを配球。これを受けた守田はシュートにつなげられなかったが、三笘の個を活かしつつ、ボランチがエリア内に入り込むという分厚い攻撃から決定機をもたらした。

 そして前半22分、日本が追加点を奪った。冨安が左足で右サイドにロングフィードを蹴り出すと、これを受けた伊東を起点に攻撃を展開。鎌田が再びスルーパスを送り、これに抜け出した菅原が中をよく見ながら折り返しのパスを配球すると、伊東のシュートは枠外に流れたが、これに反応した上田が左足で咄嗟に押し込んだ。

 上田は6月15日のキリンチャレンジ・エルサルバドル戦(○6-0)でのPKによるA代表初ゴールに続き、通算2ゴール目。立ち上がりから再三のポストプレーで成長の跡を見せていたが、得点という形でも結果を残した。

 日本は前半33分、サネに左サイドを振り切られ、危険なクロスを許してしまうが、中には合わず菅原がクリア。同アディショナルタイム1分には高い位置でDFアントニオ・リュディガーからボールをカットした上田が決定機を迎えるも、1対1のシュートはGKマルク・アンドレ・テア・シュテーゲンに阻まれた。

 直後にはカウンターからサネに最終ラインの背後に抜けられるも、冨安がギリギリで追いついてクリア。最後は頼れるDFのスーパープレーでピンチを阻み、前半を1点リードで終えた。ハーフタイムにはドイツのサポーターから大ブーイングが降り注いだ。

 後半も日本が最初にチャンスを迎え、開始1分にはテア・シュテーゲンのパスをカットした伊東が左足カットインから惜しいシュート。だが、その後はドイツに主導権を握られ、同2分にはMFヨシュア・キミッヒの左CKからDFニクラス・ジューレに危険なヘディングシュートを放たれると、同5分にはMFセルジュ・ニャブリのカットインシュートも打たれ、板倉がなんとかブロック。苦しい時間が続いた。

 後半12分にはようやく攻撃に転じ、三笘がカットインシュートを狙うも、テア・シュテーゲンの正面。同14分には上田、鎌田に代わってDF谷口彰悟とFW浅野拓磨が投入された。システムも4-2-3-1から3-4-2-1に変更。W杯と同じながら逃げ切りも意図した布陣変更で、谷口はこれまでのCBコンビの間に入るリベロ起用となった。

 日本の5バックに対してドイツが押し込む時間が続く中、後半19分にシュロッターベックとMFエムレ・ジャンに代わってDFロビン・ゴセンスとMFパスカル・グロスを投入。初招集のグロスはこれがドイツ代表デビューとなった。その後は日本が連動した守備組織で相手のビルドアップを押し返し、ドイツのサポーターからは何度も自軍選手にブーイングが向けられていた。

 日本は後半25分、三笘のスルーパスに浅野が抜け出し、またしてもビッグチャンス。だが、浅野のシュートはテア・シュテーゲンに阻まれ、こぼれ球を狙った三笘のシュートもテア・シュテーゲンの正面に飛ぶ。ドイツは同28分、ビルツとハバーツに代わってFWトーマス・ミュラーとFWユリアン・ブラントと投入。日本も同30分、伊東と守田を下げてMF久保建英とMF田中碧を入れた。

 その後も日本はドイツにボールを握られ続けはするものの、3バックが集中力を保ち、危険なシーンはなかなか作らせない。後半40分には三笘と菅原に代わってMF堂安律とDF橋岡大樹を投入し、選手を入れ替えながら逃げ切りを図る。

 そして後半45分、日本は久保が相手のバックパスミスをかっさらうと、最終ラインの裏を独走し、最後はゴール前にプレゼントパス。これに走り込んだ浅野が冷静に流し込み、リードを広げた。ドイツのサポーターからは指笛とブーイングが鳴り響く中、同アディショナルタイムにも久保のクロスから田中がヘディングで決めて4点目。試合はそのままタイムアップ。進化を示した森保ジャパンが敵地でドイツに堂々の大勝を収めた。

(取材・文 竹内達也)
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竹内達也
Text by 竹内達也

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